転んだら死神が微笑んだ
わたしが、どうしたんだろうと思い、近寄って扉の先を覗いてみると、カツカツカツという下駄の音とともにすごい形相の着物の女の人が出てきた。

あかり「おわっ…。」

次の瞬間、わたしは動かなければよかったと後悔した。

女の人「とおりゃーっ!」

女の人のかけ声とともに、何かがわたしのほうに投げかけられた。


パサーッ

あかり「わっ!な!何っ?…しょっぱい。」

それは塩だった。

太った男「ひぃぃい〜。」

男の人も、一連の動作や塩におびえて、頭を手で覆っている。

女の人「…あら、ヤダ。」

塩を投げかけたのが、男の人だけでないことに気づいた女の人は、わたしのところにかけよって、体中にひっついた塩を払いのけてくれた。

女の人「ごめんなさ〜い。まさか、こんなところに誰かいるなんて思ってなかったから。」

あかり「いいえ。わたしも悪いんです。」
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