転んだら死神が微笑んだ
女の人「じゃあ、あなたどちら様？」

あかり「い、池花あかりです。休みでちょっとこっちに来てて。」

女の人「『池花』？…こっちではめずらしい名前ね。でも、どこかで聞いたような…。」

あかり「おじいちゃんたちのところに来ていて。おじいちゃんたちの苗字は『高村』っていいます。」

女の人「高村！？じゃあ、もしかしてあなたは、良子ちゃんの子どもなの？」

あかり「は…はい。そうですけど…。」

女の人「そうなの…！」


わたしがお母さんの子どもであることがわかると、その女の人はいきなりわたしのことを優しく抱いてくれた。

あかり「え？」

突然のことに、わたしはどうしていいのかわからなかった。

女の人「大変だったわね…。お母さんがあんな事故で亡くなっちゃって。つらかったでしょう…。」

この人は、お母さんが亡くなっていたことを知っていた。

そして、その原因である事故のことを知っていた。
< 264 / 284 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop