Leave a prove
試合は開始され、相手ボールから試合は始まる。

相手はまずボールを下げてから、サイドを中心的に使いながら試合を運び出した。俺達は相手の狙いどころを見定めながら、ボールを取りにかかる。

右サイドに展開していた相手だったが、ロングフィードで左サイドに大きくボールを蹴ると、試合展開は大きく動き出した。芝グラウンドなだけに、ボールも良く飛ぶ。

ボールは綺麗な放物線を描きながら逆サイドの開いているスペースに行く。そこに走り出していた相手の左サイドハーフが、綺麗にトラップすると、縦に切り込んできた。

だがうちのディフェンスもその動きをしっかりと見切り、内側のスペースをしっかりと殺しながら、相手を端の方に寄せて行った。だが相手はその動きを見るや、後ろにボールを下げる。

そこに走り寄っていたトップ下の一枚がそのボールを受け、下がり気味に中央のスペースに切り込もうとした。だがその戦略も想定済みだ。

ボランチの一枚がすかさずマークに付き、中のスペースを殺しにかかる。すると今度はトップの方に無理くりパスを出した。当然マークを外し切れていないトップはそのボールを受ける事が出来ず、うちのディフェンスが大きくそのボールをカットした。

カットしたボールは俺の方に飛んできた。俺はヘディングでセンターハーフの仲間にボールを下げようと、ジャンプをすると背中に大きな衝撃を受けた。

俺は大きく体勢が崩れ、こけそうになる身体を必死に抑えたのだが、ボールは俺の頭上を越え、キーパーの位置まで飛んで行ってしまう。

俺は競ってきた男を見てみる。すると少しニヤけた表情を俺に見せる長澤が目の前に居た。

「簡単にはボールに触らせねぇよ」

先ほどのプレーは明らかにファールだったのだが、俺が踏ん張ってしまった分、主審の眼にはファールが映らなかったようだ。

「上等だ。俺の動きにどこまで着いて来れるか見ものだな…」

体力はそこそこの俺だが、短距離走は陸上部にも負けないぐらい自身がある。
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