Leave a prove
フラットスリーは、ディフェンスが横一列に並び、オフサイドラインを解り易くする布陣だ。パスの出どころをしっかりと読み、相手FWの目測を狂わせることが出来る。

逆を言えば、それを失敗すると、キーパーと一対一の状況を作りかねないもろ刃の剣とも言えるが、しっかりと連携を取れば、対して問題ではない。

あくまで俺達のサッカーは攻めの姿勢を崩さない事。いかなる状況でも、カウンターを狙うには、このフラットスリーは適した布陣なのだ。

「わかってますよ。いつも通りですよね」

俺は、菊池先生の言葉を聞き、改めて気を引き締め直しながら、そう答えた。

俺の腕には、黄色いキャプテンマークが着いている。このマークが、飾りであっては意味がないのだ…。俺がこのチームを引張る。

どんな状況でも俺は諦める姿勢は表には出さない。このマークを見る事で、俺はキャプテンとしての自覚を持てるのだ。

「よしっ!じゃあ俺から言う事はもうなにもない。後は、思いっきり楽しんで来いっ!」

「「はいっ!」」

菊池先生はいつも通り、最後に思いっきり楽しんで来いという言葉を言った。

サッカーを楽しめ。それも菊池先生の教えだ。

俺達はメンバーを言われた後、ユニフォームに着替え、グラウンド前のベンチに集まる。

ベンチには、マネージャーである友里が、飲み物や救急箱の準備などをしていた。俺は友里の元に行くと、声をかけた。

「ドリンク貰って良いか?少し喉が渇いたんだ…」

「はいっ。あまりガブ飲みしちゃダメよ…体重くなっちゃうからさ」

俺は友里から飲み物を貰うと、喉を潤す程度にドリンクを飲んだ。

俺の体にはすでに緊張はない。すでに臨戦態勢は整っているから。
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