イジワルな恋人


寂しそうな亮の姿を見た途端……、想いが溢れだす。


必死に隠していた想いが……、

隠そうとした想いが、身体を支配する。


どうしょうもなく亮が愛しくなって。


それ以外の感情なんて見えなくて―――……。



「……―――」


歩き出した亮の後ろ姿を、抱き締めた。


「……奈緒?!」


上から、驚いた亮の声が降ってくる。

その声ですら、あたしの胸を苦しくさせて……泣きそうになる。


「……亮、あたし、亮に話がある。……聞いてくれる?」


亮は何も答えないまま、胸の辺りに回したあたしの手を握る。

そして、あたしを離させると、向き合うように振り向いた。


男の人の顔をした亮に、また少し、苦しくなる。


「……俺、自分でも知らなかったけど、かなり独占欲強いみてぇ……。

さっきはかっこつけたけど……、中澤が知ってる事を俺が知らねぇのは、やっぱ悔しくて仕方ないし。

……だけど、おまえが話したくないなら……、話す事で嫌な思いをするなら、俺はずっと知らないままでいい。

考えたけど、やっぱ、おまえが嫌な思いすんのが、俺も一番嫌だから」



真剣な亮の言葉に、あたしは驚いて……その後、優しすぎる亮に、困って笑う。


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