イジワルな恋人
「そういう事。奈緒は桜木先輩が好きで好きで仕方ないんだから、離れられないでしょ?
だったらその気持ちをいっぱい伝えて、桜木先輩が離れていかないように捕まえておくしかないじゃん。
っていうか、その前に桜木先輩が奈緒を好きじゃないなんてありえないけどね。奈緒より桜木先輩の方が入れ込んでるように見えるし。
……本当にうらやましくてムカついてくるくらいに」
「……ありがと。あ、そういえば亮が紹介する男の子探しといてくれるって」
「えっ! やった! 超楽しみっ」
喜ぶ梓を見て、あたしも笑う。
『頑張りたい』
梓の言葉に素直に出た気持ちが、あたしを引き締める。
なんでも話せる友達がいるって、すごく幸せな事なんだって、また改めて思う。
……こんな風に、思い悩むほど好きな人がいる事も、すごくすごく幸せな事なんだよね。きっと。
亮を好きだって気持ちに戸惑って、亮の態度を気にしちゃうけど……。
亮を好きだって気持ちを、大切にしなくちゃ。
逃げてるばかりじゃ、ダメなんだ。
せっかく、気付けた気持ちと、ちゃんと向き合わなくちゃ。
……今日、告白しよう。
亮に、今日、告白する。