イジワルな恋人


……亮なんか、偉そうに車で待ってるだけで自転車なんて絶対乗らない。

あたしに会うために自転車を走らせて来るなんて事、きっとしない。


思いやりだって、優しさだって……

きっと、先輩には敵わない。



……佐伯さんの事だって、話してくれないし。

あたしがこんなに不安なのに、『言えない』なんて言うし……。


……なのに。

それなのに、亮以外考えられないのはなんでなんだろう。


これから先、先輩と一緒にいる自分が想像もできない。

頭が、心が、それを拒絶する。



あんなに好きだった先輩が……

あたしの中に見つけられない。



亮しか見えなくて……

バカみたいに亮の事しか考えられない……。


一緒にいたいのも、笑いあいたいのも、手を繋ぎたいのも、キスしたいのも。

亮以外、考えられないよ……。



自分の気持ちに、言葉より先に涙がこぼれた。




……先輩の事は、好きだったけど。

本当に大好きだったけど―――……


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