イジワルな恋人


「授業ならごまかしたよ。調子悪くて帰りましたって。

奈緒普段の態度がいいから先生全然疑わなかったよ」


梓の言葉に……、気持ちが再び曇りだす。


亮は……、

本当にあたしが必要なのかな。


だって……、今回の事は誰がなんて言おうと。

……例え、亮が否定しても。

完全にあたしのせいだ。



亮は、あたしのせいで停学になった。

あたしのせいで……、きっと留年になる。


あたしのせいで……、卒業もできないかもしれない。

全部……、あたしのせいで。


……あたし、なんの為に優等生なんてやってたんだろう。


大切な人を、守る事もできなかったのに……っ。

先生はあたしの言葉なんて信じてくれなかったのに……っ。


どこが『優等生』……? 

何が『特待生』なの?


『あたしのせいで……』

『あたしがいなければ……』


あたしが傍にいなければ……、

その方が、亮は幸せだったのかもしれない。



あたしは亮に救われたのに、あ

たしは……亮をこんな目に遭わせる事しかできないなんて……。


胸が痛い。

亮への罪悪感と、亮の優しさに……



押しつぶされそうなほど、胸が痛かった。



< 403 / 459 >

この作品をシェア

pagetop