その手に触れたくて
19

3年生の卒業式も無事に終了し、颯ちゃんも敦っちゃんも居なくなり、あたし達はみんな進級する事が出来た。

2年から3年への進級はクラス替えはないから今までと同じで何も変わっていない。

だけど隼人との毎日はいつも一緒だった。全然、変わりもなかったんだけど、ふとその変化に気づいたのは3年になって1カ月を過ぎた頃だった。


「ねぇ?隼人?」

「うん?」


いつもの昼休み、温かくなり始めたのをいい事にまた中庭のベンチに居る事が日課になってた。

あたしの問い掛けに隼人は言葉を返すけど、その返事が自棄に疲れてるようにも思う。


ここ最近ずっとだ。


「大丈夫?」

「何が?」


ベンチに深く背をつけていた隼人はジッと見つめていた空からゆっくりと視線をあたしに向けてくる。


「うん、何かしんどそう。って言うか何か疲れてる感じ」

「そうか?」

「うん、見てると分かる」

「寝不足…かな?」

「寝不足?寝てないの?」

「いや、真面目に学校来てっから」

「何それ」


思わずクスクス笑うあたしに隼人も笑みを見せる。でも、その顔がやっぱり疲れてた。


「あー、そういや今日、夏美と帰ってくんね?」

「え?」

「ちょっと直司と出掛ける所あっから」

「あー…うん。いいよ、分かった」

「わりぃな」


そう言われて得に何も思わなかった。まぁ最近はあたしとばかり帰ってるから、たまには直司と…ってそんな考えしか思ってなかった。


なのに…


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