虹色サイダー
少し照れたかのような声は案外可愛い。


やれば出来るじゃないか、妹よ。


そういうの使い分けて男に甘えりゃあいいのにねぇ。



「まあ優しいお兄ちゃんとしては、妹のそんな部分まで知れて嬉しいですけど?」


「変態」


「いやいや、それほどでも」



ようやく坂道を登り終わり、自転車のブレーキをかける。


降りるよう指示して、自分もサドルから腰を離した。



「うわー……綺麗……」



風は遮るものがないのでひたすらに寒いが、この丘から見る景色は絶景だ。


車では来れないから、穴場になってるし。


小さな街とその先に広がる海が見渡せる。



「まあさ、素直に甘えられる人が現れるって」



眼下に広がる色とりどりの景色を見つめる妹が、訝しげな視線を寄越す。


 
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