メイドのお仕事

「利琥、何を知ってるの?教えてよ」


「駄目だ…言えねぇ」



どうしてよっ…!

「祐樹は、私たちの仲間だよ!?祐樹が傷付いてるの…黙って見てろっていうの!!?」



「深く関わる方があいつを傷付ける!お前はただ、首を突っ込みたいだけだろ!!」


何…それ。

「何言ってんの…そんな訳ないでしょ!?私はただ…っ」



「もう黙れ!知ったとこで、お前には何も出来ない!」


どうして…。

どうして…そんな風に言うの!?

「そんなの分かんないでしょ!?」




「やめてよっ!!!」



ドアの前には息を切らした春樹が戻ってきていた。


「春樹…」



「もういいよ…兄ちゃんは誰にも救えないんだよ!」

春樹は涙をいっぱい目に溜めて私たちを睨み付けた。


「あぁ、そうだな…お前の言うとおりだよ」


「利琥、やめてよ!」

「本当の事だ」


何でそうデリカシーがないのかなぁ…。



「兄貴を助けたいんなら、お前が何とかしろよ」



「僕には何にも出来ないよ…」

「また逃げるのか、お前は」



春樹は今にも泣きそうな顔をしてる。


「逃げてなんかいないもん」


「逃げてるよお前は。ビビってるだけじゃねーか」



「違う…違うっ……」

春樹はとうとう泣き出してしまった。


「いい加減にして利琥!可哀想でしょ!?」


「お前も、んな同情ばっかりしてんじゃねぇよ。…くだらねぇ」



「ちょっ…どこ行くのよ!」

「俺の勝手だろ」


利琥はスタスタと教室を出て行ってしまった。



< 177 / 280 >

この作品をシェア

pagetop