メイドのお仕事

「なぁ、潤」


祐樹と葉凪が出て行ったのを確認して、席で本を読んでいた潤に声を掛けた。


「ん?」


顔を上げずに答える潤。



「俺…どうすれば良い?」


潤はパタン、と本を閉じて俺を見る。

そして、ふぅ、と息を吐く。


「どうするって、見守るしかないでしょ。…葉凪が頑張ってんだから」


「だけど…」

「ここは、利琥が出る幕じゃない」


…ですよね。


「分かった」



葉凪を信じよう。


「…ところで、何で葉凪は祐樹を呼び出したの?」

「知らねぇよ。一緒に行こう、とでも言ってんじゃねぇの?」



「そんなの僕たちの前で言ったって良いのにね」



―――ドキ。

おいおい…なんで俺を不安にさせるような事を言う?



「おい、利琥!!」


背後からでかい声がした。




「んだよ、うっせぇな」


声の主は、哉弥。

「いや、悪い……じゃなくて!葉凪と祐樹、二人きりだったけど!?」


「あぁ、知ってる」

「え、知ってんの!?何だ…利琥、心広くなったなぁ」


「うるせぇ」


どういう意味だ。



「俺はさすがに許せないね、彼女と親友がキスしてるなんて」



……は、キス?

「おい、キスって…?」



「え、知ってるんじゃ―――」


「いいから早く教えろ!」


< 254 / 280 >

この作品をシェア

pagetop