メイドのお仕事

―――葉凪


葉凪、ごめんね。

あなたには本当に辛い思いをさせたね。

何度謝っても足りません。

でも、あなたに伝えておきたい事があります。


これを読んでいるという事は、あなたは全てを知っているんだね。

黙って勝手な事をしてしまってごめんなさい。

お母さんは、最低な人間です。

あの時、お父さんとの関係がぎくしゃくしていて、寂しさを埋めてくれた祐樹君のお父さんと浮気してしまいました。

薬物も…祐樹君のお父さんに誘われて、誘惑に負けてやってしまいました。

全て自分の勝手な都合でした。

でもね、これだけは信じてほしい。


お母さんは、ずっと…葉凪が大好きだったよ。

もちろん、今も大好き。

祐樹君のお父さんといる時も、薬やってる時も…葉凪を忘れた事は一度もない。


葉凪…お母さんを、許してくれるかな?

…なんて、そんな都合のいい話、ないよね。


許してくれなくても良い。

ただね、葉凪。

あなたには幸せになってほしい。

いろんな経験して、好きな事をやって、人生を楽しんでほしい。


こんな母親で本当にごめんなさい。

でも、お母さんはいつまでも、葉凪の味方だからね。

―――あなたを一番に愛してる。









しばらくその場に立ち尽くして、その手紙を見つめていた。


お母さん…お母さん…。



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