お嬢様とヤンキー
「南北戦争だけ出る気かよ。いいトコ取りだなぁ」
「バイクで勝負できんのそん時しなかいじゃん。いつも殴り合いの喧嘩で勝負だし」
「恭介が出るのはいつも1対1(タイマン)だろ?」
「そうなんだよなぁ。バイクの方に出してもらえないんだよなぁ」
「南北戦争に出れるだけありがたいと思え!」
弘人はいつもベンチ(補欠)だ。
南北戦争はみっつの試合を行って、勝利した数で競う。
ひとつ目は団員の新人が一人ずつ代表として一対一で戦うものだ。
(通称:ルーキー)
ふたつ目は中央に位置する白馬山の頂上から麓(ふもと)までの速さを競う。
(通称:バイク)
みっつ目は団員から先発された5人が戦うもので、「総長戦」とも呼ばれる。
(通称:タイマン)
一対一で勝った人はそのまま残り、負けた人は交代。
順番はだれでもいいが、最後は総長と決まっていて、総長が倒されたら負け。
突発的な喧嘩ではなくて、きちんとした公式的な喧嘩みたいなものだ。
毎年、七夕に行われる。
その期日は明日に迫っていた。
「メンバーは今日、発表?」
「ああ。だから来いよ。メンバーから外されるぞ」
「それはないだろ~。落とされることはあったとしても」
タイマンに出れることは名誉なことなのだ。
大抵の場合、タイマンが強いやつはバイクの腕もいい。
しかし、タイマンが最優先されているのが現状。
蓮山はバイクの試合に出たいのだ。
タイマンから落ちるとは、バイクの代表になる、ということ。
「自信満々だなぁ、おい」
それでも選ばれない弘人。
「弘人だって・・・・・・」
再び、蓮山はユリ子の方へ目を向けるが姿がなかった。
「おい、恭介?どうした?」
どこいった?
「恭介?聞こえてるか?」
不安が過ぎる。
「あー、ダメ。トイレいく。じゃあな」
「お、おい・・・・・・ブチッ