お嬢様とヤンキー


「わざわざ出迎えてくれてありがとう」

「ううん。遅いから迷ったんじゃないか心配してたところ」

そして、水城はもったいぶったように、にやにやと笑うと

「この人が例の初体験の彼ね」と、ユリ子の耳元でささやいた。




「違います!そんなことしてません!」

水城に「例の人」といわれ、ユリ子は改めて蓮山をみる。

目があったので、思わず頬が赤くなる。



どうぞ、と水城はユリ子を門に通した。

ユリ子は一礼して敷地にはいる。

お嬢様学校に通っているだけあって、ふたりともマナーが染み付いている。



ユリ子は振り返って、蓮山にお礼を言った。


「じゃあ、放課後な」

「はい。あの、」

「ん?」

「今夜も泊めてください」




「・・・・・・え?」

「迷惑、ですか?」

「いや、いいけど。もう時間だから、じゃ」





「いっちゃった」

「いい感じだね」

「そうかしら。泊まるの拒んでたきがするわ」

「違うと思うなあ。ホントに一晩なになかったの?」

「ないわよう。彼のご友人がいらしたもの」



「じゃあ、今晩はふたりきりってことなんだ?」

「そ、そうかも」

水城は玄関のドアをあける。

「ガマンできるか不安なんじゃなーい?」




「もう!・・・・・・お邪魔します」

ユリ子は顔を真っ赤にさせながら、家に入った。






バターの溶ける香りがした。


「いらっしゃ〜い」

元気よく迎え入れてくれたのは水城の母。

小太りの愛想のいいひとだった。










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