お大事にしてください
「理緒・・・ちゃん?」
着ているパジャマは理緒のパジャマだ。でも、どう見てもそのパジャマを着ているのは、理緒ではない何かだ。
「理緒を、理緒をどうしたのよ!」
(お母さん、私。私が理緒なのよ。)
口がもごもごとするだけで、伝えたい言葉の一部も発する事が出来ない。
「ねぇ、理緒を、理緒をどうしたのよ!」
呼吸が荒くなっている。母親がおかしくなる時の兆候だ。
(お母さん、落ち着いて。)
立ち上がり、母親の元に向かおうとした。
理緒の姿は、この世のものとは思えない醜さだ。それが母親の心を決壊させた。
「いやぁぁぁ。」
そのまま逃げ出した。
(お、お母さん・・・。)
悲しくても涙を流す事が出来ない。いや、たぶん出ているのだろう。出ているが、乾燥した肌に全部吸い取られてしまう感じだ。目の周りはうっすらと湿っていた。
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