お大事にしてください
さようなら2
もう一人、暇を持て余している者がここにいた。
ガラスのショーケースに肘つき、行き交う人々をぼんやりと見ていた。
「あぁ・・・暇だ・・・。」
あくびをし、涙目になった。世界が歪んで見える。
「今日は・・・誰も・・・気がつきやしない。いったい、なんだって・・・言うんだ。」
愚痴を言っても、聞いてくれる相手はいない。薄暗い店の中に、老人は一人きりだ。
「そう言えば、あいつら・・・どうなったかな。うちで・・・薬を買ったからには、ただではすまないと思うんだけど・・・。この仕事、結果がわからないのが・・・、欠点と言えば欠点だよな。」
相手がいなくても愚痴は続いた。
「しょうがない・・・。今日は特別サービスで・・・ちゃんとした薬・・・売ってやるかね。」
老人はそう言うと、店の裏に回り、何か準備をはじめた。
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