お大事にしてください
小さな電球があるだけの、黒いカーテンで囲まれた小さな場所。そこで着替える事になった。
まず、置いてある椅子に腰掛け、右足の靴下を脱いだ。その時、何か小さなものが靴下から出てきた。気になり、それを拾い上げる。
暗いせいもあって、はじめ、それが何かよくわからなかった。
「何、これ?」
明かりにかざしてみる。
それは指だ。
「えっ、どういう事?」
怖さより先に、疑問が頭に浮かんだ。次に、自分の足に視線を移す。
「・・・ない・・・。」
そこにあるはずの小指がないのだ。慌てて左足も確認する。同じように、小指が床に転がった。
「きゃああああああああああ。」
体育館中に響く。それを聞きつけ、一也がやって来た。
「どうした、幸?大丈夫か?」
しかし、幸は返事をする事は出来ず、ただ自分の足を見ている。一也も同じように、視線を移す。しかし、暗くて何がどうなっているのかわからない。
「こ、幸。足がどうかしたのか?」
幸は、泣く事しか出来ない。
一也は駆け寄った。それがいけなかった。振動が、幸に届く。そして、振動は幸に伝わった。瞬間、何か大きなものが堕ちた。
「う、うわああああああああああ。」
一也も叫んだ。気が狂いそうになるくらいに叫んだ。それでも、どうにもならない。
そこにはあった。
幸の足首から先が、無惨に転がっている。
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