【短編集】時空郵便

人生は幸せそのものだ。

喜びも悲しみもたくさんつまった幸福なものだ。

環境は同じじゃなくても命を授かった時点でもう、それは平等に訪れるもんだよ。

ああ、幸せだねぇ。

幸せだよ。


眠りについて、お日様と共に目が覚めて、お線香を一つあげて、朝御飯を食べる。

洗濯物をして、散歩にでかけて、ついでにポチの様子を見て、買い物をして昼寝して。

ふふ。

夕飯を食べてお風呂にはいって、風邪を引かないように暖かくして眠りにつこうね。

そんな繰り返しが幾重も重なって笑顔で大往生できたら、それ以上に望むことなどないじゃあないか。

「旦那様、私もそろそろ会いに行きますね……」

足が悪くなって、介護が必要になると施設に入ることになった。

皮肉なもんで元気な時にはあまり会いに来てくれなかった孫達も時おり来てくれるようになって、神様がくれた最後のご褒美を満喫した。

そして、私はその施設の隣の病院で息子夫婦と二人の孫に見守られながら、旦那様の元へと旅立った。





今、私の願い事が叶うならば翼が欲しい。
この背中に鳥のように白い翼つけてください。

この大空に翼を広げとんでいきたいよ。
悲しみのない自由な空へ翼はためかせ…

(※翼をくださいより)







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