花の傭兵
「やっぱり一人で行く。男の恰好をすれば大丈夫だ」

ローズはバードの眼を見ないで言う。

「髪を切ったのか。つやつやとした黒髪だったのにもったいない」

バードはローズの髪をなでおろす。

ぞわぞわ!なんだ?この感触は?

「俺の眼が見れないのか?」

バードはくいとローズの顔を自分の顔に向ける。

黒々とした瞳に見つめられて、声も出せなくなった。

「ハハハ…。俺には自覚はないが、お袋の家系には妖術使いの血が流れている。見つめられると、ウンと言わされてしまうというわけだ。だから、妖術使いの眼は見ては危険だ」

バードは眼をそらして暖炉にちかづき、火をかきたてる。

「ローズ、お前はまだ一人旅には慣れていないんだろう?」

確かにそうだ。一緒にノースウエインから逃げた一の勇者のパースが死んで、一人旅になってから1週間しかたってない。

「旅慣れるまで同行した方がいい」

「…アレンまでよ」




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