お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」



家にたどり着いた私は、未だにのびたままのお兄ちゃんを起こそうと試みる。
だが大声で呼んでみても、縦に横にと振ってみても起きそうな気配がない。

こうなったら、最終手段……!




「もお!!起きなかったらまた毛を剃っちゃうんだからっ」



昼間の事を思い出し、一番効果的そうな事を言ってみる。
すると確かにピクリと動いた様に見えた。

今、反応した……?したよね?


もう一息と判断した私は、更に言葉を続ける。




「お兄ちゃん、剃っちゃうよ~ジョリジョリ。早くしないと髪の毛ぜ~んぶなくなって、ピカピカに禿げちゃうよぉ」



そう言いながら、朝に剃った場所の近くをつついてみる。
思った通り、効果覿面(テキメン)だったようで……




「うにぁぁぁっ」

「あ、起きた」

「唯!!カ、カ、カミソリ持ってないよな?毛、毛がっ……」

「お兄ちゃん大丈夫?夢でも見たんじゃない?」

「そ、そうか。酷い悪夢だ……」



お兄ちゃんは毛繕いをしながら、体中を丹念に確かめていた。




「あっ、そんな事よりも!!もしかして、お兄ちゃんの事がバレてるかもしんない……」



私は生徒会長に言われた事をそのまま話した。
暫く考え込んだお兄ちゃんはポツリとある可能性を口にする。




「…………屋上、かも」

「屋上?」

「唯と学校の屋上に降りた時だ。疲れてたのもあって、周りに気を配らなかった」

「ちなみに、もしバレてたらどうなるの……?」

「悪魔クビッ。この世界からおさらばっ」

「えぇぇぇぇー!!!!」




 



 
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