お兄ちゃんは悪魔サマ

*離婚*

 



その夜、居るかいないか解らないお兄ちゃんの部屋のドアをノックする。


その間も、お母さんの言ってた事が頭で繰り返し流れてくる。




『お父さんと離婚しようと思う』



理由は聞けなかった。

ちゃんと聞かなきゃいけないとは思う。でも、この現実を受け入れたくなかった……



ノックした部屋からは何も返事が来ない。




「お兄ちゃん、唯だけど居ないの……?」



再度ノックし名乗っても、やっぱり部屋からは何の返事もない。


私はその場に座り込んでしまった。もうこの場から動く気力もない。
いつの間に溢れだした涙が、頬を伝わって私の制服を濡らした……









「……唯?」



どれ位の時間が経った時だろうか。会いたかった人の声が聞こえた。

項垂れていた頭を持ち上げる。




「唯……っ!?どうした?何があった?」

「お兄……ちゃっ……」



私はお兄ちゃんに抱きついて、大声をあげて泣いてしまった。

理由のさっぱり解らないお兄ちゃんはさぞ戸惑っただろうと思う。
昨日喧嘩?したままだったし……





でもお兄ちゃんはそんな私の背中を、ずっと擦ってくれていた。

私は泣きつかれて、いつしか眠りについていた……




 
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