逆境があるから生きていられた
ほら、学校から帰って家が近づいてくると、怒鳴り声がもう聞こえてくる。家に帰ると母がきまって泣いている。帰りたくない。でも、愚痴を聞かないと、母はどこへも行き場がない。母は、急に消えちゃうんじゃないかと、子供心に怖かった。私がしっかりしなきゃと思って、小学校の頃、悩みなんて言ったことがなかった。少しでも甘えたら、張り詰め、押し込めていたものが、全て溢れてしまいそうで。
一方学校では、敬語以外を話せないし、土日遊べないし・・・小学生の反応は素直すぎた。
「Yちゃんはどうせあそべないんでしょーつまんなーーい」いつの間にか、一人になっていた。テストはいつも100点。「Yさんって、頭いいよね」いわれる度に蔑視されている気がして、教科書を引き裂いた。わざと間違えた答えを書いた。家以外のところで敬語を使うのをやめた。あえて「キタナイ言葉」を使った。興味をもたれないことほどつらいことはなかったから。何をやっても、誰もこっちを、見てくれなくなった。ねえ、知ってる??私、ここにいるんだよ!!気づいて。皆、本当の私を見て。面白いこともいえる。皆が大好きなケイドロのルールだって知っとるよ!

 昼休み。めいめいに「なかまたち」は運動場に遊びに行く。がらんとした教室で、私は一人、泣いていた。
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