逆境があるから生きていられた

「春の文化祭のライブを最後にして、勉強する」という条件で親に最後の行事の許しを得た。2畳分くらいの水墨画を描いて、クラスでばかでかい展示をして、ライブではオリジナル曲もやったりして。最後だと思っていたから、あえてまったく勉強せずに、朝から深夜まで文化祭に没頭。でも、おわったら体育祭したくなってしまった。もう中毒だ。
体育祭リーダーの公募が始まった日、実は本気で出ないつもりで図書館で勉強していた。「体育祭」されど「体育祭」我が高校の体育祭は海外から取材が来るほど盛大だった。がちで、生徒が全しきり。特に受験生である3年生が受験期に大事な夏休みをフルに使ってリーダーをやって全体をひっぱる・・・浪人はもちろん覚悟の上だ。
「Yが出らんとか絶対皆どうしたん!?っておもうよ!?Yはそういう存在になったんよ!?」一日かけて説得してくれた幼馴染の言葉が、とどめだった。親に言ったら絶対まずいと思って勝手にリーダーに申し込んだ。950人をまとめる快感。一日たりとも没頭しなかった日はなかった。
こうして、受験期の9月までがすぎた。
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