影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
一人になった私は、信長の兵に、そして初代下山甲斐に見つからぬよう身を潜めながら様々な地を渡り歩いた。

生きていくには食べていかねばならない。

自然と私の生きる道は、隠密で培った暗殺が生業となった。

報酬と引き換えに、指定された者を屠る仕事。

こんな世の中だ、仕事には事欠かなかった。

金を貰い、その手を血に染めた。

殺す度に私の忍術は洗練されていった。

実戦こそが最良の修行。

まさしくその通りに、私の隠密としての腕は上達していった。

やがて、金で暗殺を請け負うくのいちとして、私の名は有名になっていく。

『伊賀残党の毒百合』

そんな異名さえ、いつの間にか付けられていた。


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