影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「同時に、一人のくのいちが信長の暗殺を依頼されたという情報も聞いていた」

甲斐様は私の顔を見る。

「毒百合という異名を持つ隠密の情報…すぐにお前だとわかった」

「甲斐様…」

燃え盛る本能寺。

その廊下を駆け抜けながらも、私ははにかむ。

「よくぞ生き残った、百合。本当に嬉しく思うぞ」

甲斐様は笑みを湛える。

やがて、外へと通じる出口を見つけ、私達はそこから堀へと飛び込む!

同時に炎に舐め尽くされ、崩れ落ちる本能寺。

「…崩壊していく…信長の野望と共に…」

堀の中。

紅蓮の炎を見上げながら、甲斐様は呟いた。

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