影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
正直、俺は天下の行方などに興味はない。

我ら伊賀忍軍は契約を結んだ者に対して任務を実行するのみの存在。

それが天下人であろうと貧乏御家人であろうと関係ない。

ただ…復讐を果たしたとはいえ、秀吉はかつての信長の配下だった男。

その信長の息のかかった秀吉に仕える事は、心情的に面白くはなかった。

信長を討った後、俺と百合はアテもなく諸国を旅して回る。

時折生き残った伊賀忍軍の仲間達とも連絡をとりつつ、日本中を流れる旅。

天正伊賀の乱から戦い尽くめだった俺達にとって、この時が一時的にとはいえ、心休まる日々だったかもしれない。

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