影を往く者、闇に逝く者－戦国隠密伝－

また、忍は任務活動のために必要な能力を高める手段を修行と食に求めている。

その一つがスルメ。

スルメをよく噛んで食べることで顎が強くなり、歯を食いしばって全力を出しやすくなる。

それに、スルメの原材料であるイカには目や肝臓を強化する栄養素が豊富に含まれているのだ。

他にも山椒や人参からの栄養を摂って、暗視能力を高めるなどの工夫をしている。

また、炊いたお米を水分が飛ぶまで炊き上げる「焼乾（たきいい）」にして食べると滋養強壮効果が出ると言われ、好んで食べた。

ただ肉体を鍛えるだけでなく、食事でも鍛錬するのが隠密の修行法なのだ。

とはいえ、隠密でもやはり食事は楽しみの一つだ。

甲斐様も喜んで食事をとっていただけたようで、私も母も満足してその様子を見ていた。