影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
周囲を警戒し、追って来る兵士達に牽制の手裏剣を投げつつ走る。

一人では戦いにもならない。

仲間との合流が必要だった。

親しい友人や母上、子供達の顔が浮かぶ。

皆は無事でいるだろうか。

そして、甲斐様、頭領は…。

あの方達ほどの手練れならば、よもや不覚を取るなどとは思えないが…。

何にせよ、早く無事な姿が見たい。

時折見かける同胞や敵兵の屍を文字通り乗り越えつつ、私は里の奥へと走っていった。







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