COLORS【紫】パープルA
オートロックのマンション。まずは入口にて彼女の部屋番号を押す。


ピンポーン……。


暫くしてドアホン越しに声が聞こえた。

「おはようございます、お待ちしておりました。どうぞ中へ」

「ありがとうございます」

入口が解除されエレベーターの前に向かう。

「すげーな、このマンション。セキュリティもバッチリだ、蟻一匹入り込む隙間もねぇ」

「そうね。でも……」

「どうした?」

「ううん、何でもない」

昨日より事が進展していることを祈って。


『ヒマワリ』……?


――あの時から引っかかる……。

……どうして。



「お待ちしておりました」

部屋の前のドアホンを押すと私たちと分かっているためであろう。応答はなしにすぐ扉は開けられた。

『おはようございます』
私たちは声を揃える。

「どうぞ上がって下さいな」


あ……、あの時の『赤いバラ』……。


玄関には廉が私に無断で用意したあのバラが生けてあった。

「飾ってくれているんですね」

「大切なプレゼントですから……ね!」

女の私から見ても彼女はとても素敵だと思った。
部屋も綺麗に整頓されていて私の部屋とは比べものにならない。

「あれから何か変わったことはありましたか?」

「変わったこと……?そう言えば昨日部屋の前に『ヒマワリ』の鉢植えが置いてあったんです」

──ヒマワリ?

私の中でモヤモヤしていた違和感が一つの線で繋がった気がした。
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