死神少女
「…くく…人間とは愚かな生き物だ」


「…いきなりなによ」


くっく…と笑う姿はどこか影が増したように感じる。


「欲に翻弄され、自我を見失い、他者を痛める」


口調が重い。
輝は空を見上げながら話を続けた。


「彼女もその1人さ」


欲に翻弄?
他者を痛める?
彼女には相応しくないじゃない。
彼女は穏やかで優しくてーーー…


「彼女は人を手にかけた」

「…冗談は…」


「事実さ。直接ではないがな」


「………も、もしそうだとしてもそれが何なのよ?」


「ふっ。…人を手にかけてでも、彼女はまだ生きるのを諦めていないようでな。生きている者から命を取ろうとしているんだ」



生きて、いる者から…
命を取る?


「教えられはしないが、方法はいろいろあるのさ。……とにかくそれはこの世…いいや。あの世の道理にも逆らう行為。黙認する訳にはいかないだろう。だから諦めて、大人しく、余生を生きろと言ってるのだが…。諦めなければ制裁を下す、だから諦めろと彼女を説得しているのだ」



「あなたはー…何者、な‥の………?」


輝はくるっと振り向いてニヤリと笑う。


「さぁ‥な?」

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