イチ*コイ

―押してダメなら




 人がひしめく廊下。

 今日は文化祭だ。

 結局廉の行動がどうなったのかは知らない。

 思うのはただ、面倒が降りかからないように、それだけだ。

―ブブブ…ブブブ…

 メールか何かが入る。

 ケータイを開いて確認すると、メールだった。

   20XX/11/14 11:46
From:廉
Sub :No tittle
――――――――――――
交代の時間だぞー
    ---end---

 そのメールを見て、重たい腰を上げた。

 さすがに冬になりかけてるだけあって、寒い。

 吐く息が白くなる。

 あいつなら…こんな状況も、楽しむんだろうか。

 屋上から階段を下っていくと、人が多いせいかなんとなく暑い。

 教室に着く頃には額に汗をかいていた。


「斗真ー、奥で待機してろよー」

「おー」


 教室を半分に割った、もう片方の部屋に行く。

 ここで待機してればいいんだろ。

 確かもう1人は…吉野だっけ。

 うるせぇ元野球部の奴。

 暗幕を捲る。

 そこにいたのは坊主の吉野じゃなくて…美華、だった。


「あ、浜崎さ……え」



< 130 / 238 >

この作品をシェア

pagetop