イチ*コイ
「ふふ…ホッキョクグマは空洞になった保護毛で浮力を得られて、鼻孔は水中で閉じられるんだ。
だから息を止めて潜って、海面で油断してる獲物に下から襲いかかるの」
へぇ…ホッキョクグマって息止められんだ。
それに毛が空洞とか、初めて知った。
見た目は普通の毛だし、美華に言われなかったら一生知らなかったんだろうな。
「あとね、食物が少ないときには、長い間絶食できるんだよ。
海藻やコケや果実を少し食べるだけで長いときに5ヶ月も生きれるんだって」
「へぇ…人間には出来ねぇな」
「そうだよねぇ、それにホッキョクグマはクマ類の中でもっとも鋭い嗅覚を持つんだって。
1キロ離れた場所からアザラシの呼吸穴の位置を特定できるらしいよ」
「1キロ!?」
うわぁ…アザラシとか食われまくりだな。
だから凶暴とか言われてんのか?
ん?…でも、何でアザラシを食うんだ?
クマは雑食性って聞いたことあるような気がすんだけど。
そのことを美華に言う。
「クマのほとんどは雑食性だけど、ホッキョクグマはほぼ完全な肉食なの。
ほとんど食べるのはアザラシなんだけど…セイウチやイッカクとか、クジラを襲うこともあるんだよ」