イチ*コイ
2† 諦めきれないから

―心をさらう横顔




「オイ」

「ひゃあ!お、大森くん!?」


 隣を歩く美華を突っついた。

 予想外だったのか、涙目になってる。


「ク…ッ驚きすぎだろ…!」

「だ、だって…危ないよ」

「あ、」


 美華の隣は、急斜面の崖。

 そ、今は遠足中ってわけだ。

 この年になってまで遠足なんて行くモンじゃねぇだろ…。

 毎年憂鬱な今日と、今は違う。

 出席番号が同じだから、俺の隣は美華。

 今年は楽しめる…だろう。


「気を付けてね、ほんと…怖いから」

「…おう」


 それから美華を観察。

 登りの中盤まで来た頃、話しかけた。


「お前高所恐怖症?」

「!…あ、えっと…」


 急に慌て出す美華。

 俺の勘は基本的に外れねぇ。


「だろ?」

「…ハイ」


 肩を落とす姿はやっぱおもしれえ。

 他の女みてぇにそれ理由にして近づこうとしねぇし。


「ふっ…やっぱな」

「何でわかったの…?」


 不思議そうに見上げてくるその目。

 何かこの顔見ると、いじめたくなるんだよなぁ…。



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