百地外伝~夢と希望


「紫苑先輩、佐藤さんて、園部家の執事なんですか?」


なんだか今の時代にそぐわない佐藤さんの存在に、あたしはどうも違和感をぬぐえなかった。

「佐藤は、わたしの母が父に嫁いだ時、実家の桂木家から母と一緒に来たのよ。

だから、正確には佐藤はわたしの母の執事なの。

でも、母が亡くなった後も家族同様に一緒にいるの。

ホントはもう執事の仕事は放免なんだけど、父もわたしも何もできない役立たずでしょ。

必然的に家事全般と雑事は佐藤の担当になっちゃってるわけ」


「ふぅん」


なんだかわかったような、わからないような……


「さあ、素潜りの特訓開始よ。

先ずは、軽く準備運動ね」


「おう」


翔も百地も、シュノーケルを持ってやる気満々。

あたしの横では、ユタが眠たそうに大きく欠伸をした。
< 141 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop