この想いを君に…2
「あはははは〜!!」



閉店したお店には。

スタッフの笑い声が響き渡る。

特に祥太郎には。

今日の出来事が大ウケで。

「まるで俺と徹の出会いみたいだよ。
あいつも授業中にずっと絵を描いてたし〜!」

と言っては。

また笑い出した。

「二次元の彼氏…」

光さんは肩を震わせて笑っている。

「それをさらり、と言ってのけるとは…やるなあ!」

「普通は中々言えないよね〜!
でも、徹は俺にサラっと『俺はアニメしか愛せません』と最初に言ってたなあ!
こいつなら理解してくれるって電波を拾ったのかもしれないけど」

そう言う、祥太郎の一番の親友は徹=グレンさんだから。

「しかし、悠斗が一目惚れするくらい、可愛いの?」

祥太郎の質問にあたしは頷く。

「髪の毛も巻いてるし、持ってる物もかなりオシャレ。
でも彼氏は二次元」

そう言うと

「一度見てみたい!!」

と祥太郎と光さんは笑い続けていた。

「…まあ、でも睦海、良かったじゃない?」

パパが微笑んで

「これで一人でお弁当を食べなくて済むよ。
きっと、いい友達になるよ」



そう、梅雨になっても。

もう心配しなくていい。

教室の隅っこででも。

気がねなく過ごせる友達が。

ようやく出来たから。
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