初彼 -ハツカレ-
卒業




吹く風が肌を刺すみたいに厳しい季節。

年も明けて、

1月になった。



この冬休みに

部長とデートを一回できた。


その前に

部長と花火大会のときに約束した

映画を見に行った。


飛希と彩貴が本当に張り切って

化粧とか服選びとかしてくれた。


秋になりかかっていたのに

短くて買ってたけど

穿けなかったほどの短パンを

穿けと命令されて渋々穿いた。

短くて恥かしかった。





部長も固まってたから

すぐさま帰りたいって思った。


髪の毛がボサボサなんじゃないのか、

化粧が崩れたとか似合わないとか、

そんな事を思ってすんごい不安だった。


でもここで泣いたらいけないし

逃げるのも、

何だか嫌だったから頑張った我慢した。


不安でいっぱいだった。

勇気を出して

「…………手ぇ繋いでいいですか…?」

って控えめに訊くと

部長は微笑んであたしの掌に

自分の指を絡ませて歩き出した。

何だかその仕草にドキンッってなった。

不安だった物が

全然無くなった瞬間だった。






< 252 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop