最後の恋。

親に逢う

ついに来た土曜日。彼が私の親に挨拶をしに来る日。花梨は朝から興奮気味だ。「ねぇ、まだ?何時に来るの?雄介。」雄介って…。呼び捨てはマズイんじゃ?「ねぇ、仁美ぃ、おかしくないかしら?」お母さん、スーツにしなくても…。結婚の挨拶じゃないんだから。「お母さん、何もかしこまらなくても…。ただ来るだけだし…。」「えっ、ダメかしら?着替えてくるわね。」残念そうな顔をして部屋に行く。「これで、いいか?いまいち分からなくてな。」振り返ると、スーツに身を包んだお父さんがいた。お父さんまで…。「いや、お父さん…。結婚する訳じゃないから、別にそれでなくても、いつもの格好でいいよ。」「そうなのか?」父も残念な顔で部屋に行く。「ママぁ~、髪くくってよぉ。」大きなリボンを持って来た。 「花梨…。この間買ったリボンにしなさい。お呼ばれに行くんじゃないんだから…。」
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