【短】雨宿り
「それでも、友達と笑い合う彼女を見つけると、ホッとしてたんだ。

彼女は知らないと思うけど、俺、めちゃくちゃ彼女ばっかり見てたんだよね。出席日数ギリギリだった俺が、後半は彼女見たさに毎日学校通っちゃうんだからさ、自分でもビックリだったよ。

けど、卒業間近、俺に本気で冷めた目向ける彼女に気づいて。

あーマジで嫌われたなって思った」

「好きだけど、嫌いだって思い込まないと苦しくてどうしていいかわかんなかったんじゃないですか、きっと」

そっと見上げると絡まる視線。

それをほどいて、私はまた俯いた。

「だからさ、卒業して、キレイさっぱり女とも縁切って、全部忘れるつもりだったんだけど。

なんか知らねー、ことあるごとにどうしても彼女の顔が浮かぶんだよ。

せっかくコンパでいい女捕まえて持ち帰れるって時にもさ。

家族も、俺置いて親父の転勤にくっついてったから、念願の一人暮らし手に入れたってのに。

結局独りぼっちの寂しい夜ばっかり過ごして、あー俺、マジで彼女好きなんだなって思った。

いや、ちょっと違うかな。心配でしょうがなかったんだ、多分。

彼女のことだから、変な男に簡単に引っ掛かって、泣かされてんじゃねーかって」

「保護者みたい」

「んー、それもなんか違うかなぁ。独占欲?かな。

俺以外の奴に渡したくなかったね。それを“好き”って言うのか」

髭は照れくさそうにまた首の後ろを掻いていた。
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