蒼空へのシュート  ~先生への想い~

本当に気持ちのいい天気だ。私は空を見上げ先生に何げなく聞いた。


『先生はどんな空が好き?』


「どんな空かぁ…」


先生と私の瞳には同じ空が映っていた。


「空をながめているとさ「こんな日に○○があったな」とか、「この夕日あいつと見たな」とか、出来事や人も浮かんでくるんだよな。そういえば、蒼衣が入学した日も桜のピンクと水色の澄み切った空だったな。すごくきれいな空だったよな。ドキドキ、ワクワクするって言うか。あんな色、あんな空が好きかなぁ…卒業式もいい空にしような」



先生と会った日の空は覚えてるよ。


先生も覚えてくれていたんだ。すごーい。うれしい。 


あまりに感動しすぎちゃって、私は何も言うことができず心の中で返事をしてしまった。 


「もうすぐ夏休みだな。峻太達との最後の夏だ。気合い入れていくか」


『うん。先生との最高の思い出を作れるように』



そして午後の授業が始まる前の合図のチャイムが静かになった。

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