蒼空へのシュート  ~先生への想い~

ビターな関係

稲葉さんと過ごす日々はとても楽しかった。

自分のことを思っていてくれる安心感があるって、こんなにも自分に自信と安らぎを感じられることを知った。


でも、まだ私の気持ちは…


ずるいのはわかっている。


それでも…


稲葉さんの笑顔をみるたび、先生の笑顔がうかぶ。


稲葉さんの後ろ姿を見ると、先生の夕日に照らされた温かい背中を感じる。


稲葉さんとつないだ手の温もりを感じるながら、先生の指を組み合わせる癖を思い出す。

でもそんなことをすればするほど、思えば思うほど私の中には先生で一杯になっていく。


ずるい私。

優しさや温かさが居心地よいと思う自分に辛くなる。


どうしてこの人を好きになれないのだろう。


どうしてあの人じゃなきゃだめなんだろう。
< 87 / 207 >

この作品をシェア

pagetop