NAO



 「ちくしょう!」



 ーーバキッ!


 俺はおもいっきり壁を殴った。


 何度も床を殴った手で壁も殴った。俺の手はボロボローー。


 手の痛みよりも…はるかに胸が痛むーー。


 そんな俺を見て、お袋は謝っている。


 正直…お袋のやり方には頭にきた。


 だけど…一番頭に来るのは…俺自身だー…。


 気づいてやれなかった…ムリにでも…会いに行けば良かったー…。


 今更…気づくなんて…遅すぎる…。


 もっと…早く…気づくべきだったーー。


 悔しくて…悔しくて…。


 俺は部屋の中に入って…しゃがんだ。


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