【盲目の天使】番外編

次の日、ルシルが怒っていないか心配で、朝一番にリリティス様の部屋を訪れた。

また取り次いでもらえないかと思ったけど、今度は断られず、部屋の前で待たされた。


と、

おはよう、と部屋の中から現れたのは・・・。


「ル、ルシル!あのおはよう。昨日はその・・。というか、なんで君が出てくるの?」


まさかいきなりルシルが出てくると思ってなかった俺は、心の準備ができていなくてどもりまくりだ。


「それが、私、今朝はぼおっとして失敗続きで。

いると邪魔だから、リリティス様に届いてるはずの荷物を受け取ってくるようにってオルメ様に言われて。

その・・重いものはマーズレンに持ってもらえって」


俺は、言葉を失った。


まったく、あの母は、何をどこまで見通しているんだか。

それでも、俺は、母の思惑にのってしまうことにした。

どうせ、掌の上で遊ばれるなら、それを楽しんでしまえばいい。


「よし、じゃあ、手伝うよ。行こう」


俺は、ルシルと並んで、できるだけゆっくりと歩いた。


このときの俺は、幸せに舞い上がっていて、不吉な足音がすぐ近くに迫っているなんてこと、

夢にも思ってなかった--。



<つづく>







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