【盲目の天使】番外編
「どうして、リリティス様ばかりがこんな目に合うのですか!
せっかく・・、
せっかく塔から降りて、カルレイン様に会えたのにっ!」
リリティス様の部屋で、ルシルが涙に暮れている。
部屋にいる誰もがルシルと同じ気持ちだったに違いない。
俺だってそうだ。今にも叫びだしそうだ。
毒を飲んで倒れたリリティス様。
やっと目を覚ましたと思ったら、記憶を失ってしまったなんて・・。
「大丈夫だよ。
悪いことばかりじゃないさ。
リリティス様は、目が見えるようになったんだし、
あとは記憶も取り戻せば、ばっちりじゃないか」
ルシルにそっと声をかけると、彼女は睨みつけるように顔を上げてこぶしを作った。
「私、やるわ!
私が落ち込んでたんじゃ、リリティス様だって不安になってしまうもの!」
「そうさ。今こそリリティス様の支えになってさしあげなきゃ」
ルシルの立ち直りの早さに、俺は舌を巻いた。
そう、それでこそ君だ。リリティス様はきっと大丈夫さ。
俺だって、負けずにカルレイン様をお支えしてみせる。
それから・・、君のこともね。