レモン

Alone.....


梅雨に入り着実に夏が近づく頃、
小柄は毎晩のようにうなされるようになった。


毎晩、毎晩うなされては、
汗をびっしょりかいて飛び起きる。

そして目には涙を溜めて・・・。


健も心配していつも隣に居た。

昼間も、仕事がない限り一緒に居た。


だが小柄の状況は変わらなかった。


1週間もそれが続いた日から、
小柄はとうとう眠るのをやめた。

健が心配して睡眠薬を貰ってきても、
小柄はかたくなに眠るのを拒否した。

ご飯も食べようとしなかったが、
健が作るおにぎりだけはちゃんと食べてくれた。


健はしばらく仕事を休み、
1日小柄の面倒をみる事にした。

小柄が眠らないので、
健も眠る事ができない。

親も変わろうかと言ったけれど、
それは健に断られてしまった。


だが、健の体が持つはずがなかったのだ。


健は日ごろの疲れからか、
熱を出して倒れてしまったのだった・・・。

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