レモン
「泣き虫。」

健の嫌味に少し正気を取り戻した。


「だって・・・。」


小柄が話そうとした時、
健は意識を失ってしまった。


携帯も財布も持っていなかった小柄は、
健を担いで家まで戻った。

それは何日もまともに食べていなかった、
女の子の体ではなかった。

健を助けなきゃという、
だたそれだけで出た力だった。

小柄は少しだけ、
でも確実に強くなっていた。


家に着くと健を部屋のベットに寝かし、
汗を拭き、薬を飲ませ額に濡れたタオルを置いた。

そして、下に降りキッチンに向かった。

健のお粥を作っていたのだ。

少し大目に作ったお粥を持って部屋に戻ると、
健が目を覚ました。


「良い匂いにつられた。」


健がかすれた声でそう言った。


「起きれる?」


小柄が健の背中に腕を回し、
体をそっと起こした。


「私の真似して何も食べてないでしょ?」


小柄が優しく言い、
健の分を器に盛り渡した。

そして自分の分も盛り、
ベットに座って食べ始めた。
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