ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『リョータさん…』

敬大はリョータの言葉を深く受け止めていた。

そしてしばらく沈黙が続いたかと思えば、リョータがまた口を開いた。

『なあ…敬大君。いつまでも“少年院出”の瑞輝敬大のまま立ち止まってないで、“ミュージシャン”の瑞輝敬大として歩き出そうよ。小さい頃の敬大君が、未来の敬大君にした“世界一のミュージシャンになる”って約束のために、もう一度夢を追いかけてみようよ』

リョータはそう言ってニコッと笑った。

『小さい頃の俺が、未来の俺にした約束…』

敬大は呟いた。

『約束はさ…守るためにあるんだぜ』

リョータはそう言って席を立ち、敬大の肩をポンポンと軽く叩いて、会場を出て行った。

『お、俺は…』

敬大は今まで自分で作っていた“レッテル”の無意味さに気付き、悔しさのあまり膝の上で拳を握り、涙を零した。

敬大にそれを気付かせたのは、紛れも無い敬大に“夢”を与えた男の息子だった。


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