ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『そ、そんな…自由に動かないって…』

立っていたレミは愕然とし、膝を地面につくように崩れ落ちた。

『オイ、オヤジ!!動かないってどういうことだよ!!』

蓮は父親に目の色を変えて尋ねた。

『さっきも言ったが傷が深くて、手の神経や筋の損傷が激しくてな…。私の力不足だ、すまない』

蓮の父親は頭を下げて謝った。

『そ、そんな…くそっ!!』

蓮も愕然とし、病院の壁をこぶしで殴った。

『敬大…』

椅子に座る楓は膝の上で両手をギュッと握りしめ涙を零した。

イブの鐘が鳴り響く夜に、悲しみの涙が流れ落ちた。

幸せが漂うこの今日という日に、涙が溢れた。

その後麻酔で眠る敬大は病室に運ばれ、蓮や楓やレミの3人は敬大の病室で一夜を過ごした。

外ではただ静かにもくもくと雪が降り積もった。

敬大の病室に集う者たちの心の涙を映し出しているかのように。


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