ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『敬大…』

敬大の病室に戻った楓は、眠っている敬大の側の椅子に座って、敬大を見つめていた。

『どうしてライブ会場にいないで、あの事故現場なんかにいたの?…敬大の夢の舞台だったのに…どうして…』

楓はたくさんの疑問を眠る敬大に投げかけていた。

そして楓は敬大の手を両手でギュッと握りしめた。

『早く目を覚ましてよ、敬大…。ねぇ、敬大…』

楓の目から涙が零れ落ちた。

『神様…お願いだから。お願いだから敬大を…敬大を…助けて』

楓は溢れる涙と思いを胸に、神様に願いを飛ばした。

楓は敬大の手を握りしめながら、その手を放すことはなかった。

今の願いはただ一つ…

敬大が元気になる事。

それが楓にとって何よリも1番の願い事だった。

今の楓にはただ願うしか出来なくて…

ただそれしか出来なくて…

それくらいしか出来ない自分に悔しささえも感じていたのだった。


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