ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
桐丘レイはナースコールで院長を呼び、敬大はいろいろと検査をされた。

しばらくして頭痛がおさまった敬大はいつの間にか眠りに落ちていた。

『ううっ…』

朝が明ける頃、敬大がふと目を覚ますと連絡を受けて駆け付けて来た楓が敬大の手を握りしめながら、椅子に座りベッドにもたれ掛かって眠っていた。

『月姫さん…』

敬大は眠る楓に薄い毛布を優しく被せた。

『ん…んっ…敬大…敬大!!大丈夫?』

目を覚ました楓は、敬大に心配げに尋ねた。

『はい、大丈夫です』

敬大は笑顔で答えた。

『良かった…』

楓はホッと一安心した。

『心配かけてすみませんでした。昨日の昼間に月姫さんの寂しそうな表情見て、その表情を笑顔に変えたくて…ギター弾いてたら頭痛がして…』

『敬大…』

楓は胸が締め付けられた。

『何か月姫さんと一緒にいると凄く胸の奥があったかくなるんですよね…どうしてかなぁ!?不思議です』

敬大はそう言って優しく笑いかけた。

楓は敬大のその言葉を聞いて、切ない気持ちでいっぱいだった。

二人の不器用でちっぽけな幸せが時間と共に過ぎて行った。


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